名古屋地方裁判所 昭和57年(わ)1873号 判決 1983年2月10日
本籍
愛知県刈谷市司町九丁目二九番地
住居
同市司町九丁目三〇番地
会社役員
犬飼玉治
大正四年一二月一九日生
所得税法違反被告事件
出席検察官
河村信男
主文
被告人を懲役八月および罰金六〇〇万円に処する。
本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納しないときは金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、愛知県刈谷市司町九丁目三〇番地に居住し、名古屋市熱田区川並町二番二二号所在の名古屋市中央卸売市場内において、<二>商店の名称により貝類の卸売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、仕入を過大に計上し、前渡金を計上しない等の方法によって所得の一部を秘匿した上、
第一 昭和五四年分の実際の所得金額が三、〇八八万四、〇四九円で、これに対する所得税額が一、一九八万七、二〇〇円であるのに、昭和五五年三月一一日、刈谷市神明町三丁目三四番地所在の刈谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四七八万四〇三円、これに対する所得税額が三二万八、三〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額一、一六五万八、九〇〇円を免れ、
第二 昭和五五年分の実際の所得金額が四、〇二九万六、〇八七円で、これに対する所得税額が一、七六七万二、八〇〇円であるのに、昭和五六年三月一一日、右刈谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七一四万三、三六〇円、これに対する所得税額が八七万九、七〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額一、六七九万三、一〇〇円を免れ、
第三 昭和五六年分の実際の所得金額が四、二六四万四、〇二八円で、これに対する所得税額が一、八九七万五、九〇〇円であるのに、昭和五七年三月一〇日、右刈谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七四一万二、〇二九円、これに対する所得税額が八三万七、二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額一、八一三万八、七〇〇円を免れ
もっていずれも不正の行為によって所得税を免れたものである。
(証拠)
証拠等関係カード(検察官請求分)甲1ないし26、乙1ないし9の各証拠ならびに被告人の当公廷における供述
(法令の適用)
第一、第二 各所得税法二三八条一項(昭和五六年法律五四号による改正前のもの、同法附則五条、併科刑選択)
第三 所得税法二三八条一項(併科刑選択)
刑法四五条前段四七条本文一〇条四八条二項
刑法二五条一項、一八条
刑事訴訟法一八一条一項本文
(裁判官 知識融治)